罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

BLではなくて……

少し前に李琴峰さんの『星月夜』を読みました。台湾や中国にルーツを持ち、日本で暮らす女性の同性愛がテーマになっています。

異国で暮らす苦労や違和感、居心地の悪さと、同性愛者として暮らすことの居心地の悪さ、そんなことが丁寧に描かれていました。

李琴峰さんの作品は『独り舞』『五つ数えれば三日月が』も読んでいまして、やはり同性愛がテーマになっていたので、作品世界には抵抗なくすんなりと入り込めました。

いま、本書の感想はおくとして、個人的にはこういう同性愛の作品が普通に増えてくるのは嬉しい傾向だと思います。もっともっと増えてくれるとよいなあと思いますし、いろいろなタイプの作品を読んでみたいと思います。

が、女性作家が女性の同性愛を描く作品は、こうして少しずつ増えてきていると思うのですが、男性の同性愛作品ってあるのでしょうか? あたしが知らないだけなのでしょうか?

男性同性愛というと、森茉莉さんの作品などで読んだことがありますが、最近だとBLといったジャンルがあります。でもBLと言ってしまうとちょっと違う気がします。それに森茉莉さんの作品も同性愛をテーマにした作品なのかと言われるとどうなのでしょう? 少なくとも李琴峰③の作品の女性をそのまま男性に置き換えたようなものではないと思います。

女性作家が女性の同性愛や男性の同性愛を描くように、男性作家が描く男性の同性愛、女性の同棲の作品って何かあるのでしょうか? あったら読んでみたいものです。もちろんAVまがいの作品はお断わりですが。