『チンギス・カン―“蒼き狼”の実像』読了。
ユーラシア大陸全域にまたがる巨大帝国を築いたジンギス・カンとなると、一般の中国史からはちょっと外れるような気もしますが、元王朝は中国の正当王朝の一つですし……。
考古学と文献斯学をミックスして、その成果をわかりやすく解説してくれている一書です。決して英雄礼賛になることもなく、かといって、一般にはつまらなくなりがちな考古学的記述に陥ることなく読めました。なにしろ、今のところ、あれだけの世界帝国を作り上げたにもかかわらず、古代エジプトのような金銀財宝のような考古学的成果が何も出てこないわけですから。
比較的地味な内容を飽きさせずに読ませてくれるわけですから、著者はなかなかの文章力だと思います。写真や図版なども適宜挿入され、理解を助けてくれます。