罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

街場の中国論


『街場の中国論』読了。内田樹さんがご自身のゼミでの中国論をテープ起こしして書籍にまとめたものです。

内田さんはご存じのように、そしてご自身も書いていらっしゃいますが、中国学の専門家でもなければ、中国語が堪能なわけでもありません。もちろん国際政治学者でもありませんから、やや自信なさげに語っているところがあるのは仕方ないと思います。

でも、むしろ驚くのは、そんな内田さんの中国観、現状分析が非常に客観的でバランスのとれたものであるなあ、というところです。素人だからこそという着眼点も、ところがどっこい、これが素人ですか、というくらい玄人はだしです。

内田さんには是非とも専門の中国学者の方と対談なり鼎談なりをしていただきたいところです。じゃあ、どんな人を対談相手に選ぶ(?)と聞かれると迷いますが、一つには古典を生業としている方なんて面白いと思いますね。もちろん古典だけではなく現代中国にもしっかり目配りの聞いた方です。

もう一つの案としては、中国での生活経験のある人なんてどうでしょう? 新聞などの特派員や企業の現地駐在員の中には、中国に対して変に偏った印象を抱いて帰国してしまう人もままいますが、駐在員、特派員という枠を超えて、様々な角度から中国にアプローチしている方なら面白いんじゃないかと思います。

しかし、この手の本を読んでいつも思います。こういった種類の本で私が共感できるものっていうのは、どれも「もう少し中国、中国人の立場でも考えてみようと」というスタンスを持っている人、書籍ですね。この本もそうです。