罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

北京―皇都の歴史と空間


『北京―皇都の歴史と空間』読了。

北京という街の歴史を述べ、現在の都市開発の状況とのその問題や将来を紹介した本ですが、都市学というのか社会学と呼ぶのでしょうか、そういった観点からのアプローチになっています。単に北京の歴史を歴史物語風に紹介しているわけでもありませんし、北京の「今」を興味深く紹介しているわけでもありません。

あくまで真面目な、そしてデータ重視な本です。数字がたくさん出てくるので、ちょっと本筋が見えにくくなっているところもありますが、もう少し図表を活用してもよかったんじゃないかと思います。

都市の発展、特にそこに暮らす人々という観点からのアプローチですので、観光客に人気のスポットというのは歴史を叙述した部分で多少触れられる以外全く出てきません。逆に市内や郊外の、まず観光客が訪れないような地区を都市問題のモデル地区として取り上げていて、北京を何度も訪れている身としては、そういうところにも行ってみたいなあと思いました。観光客としてのあたしには見るべきものは何もないのでしょうが。

個人的には外城である崇文区と宣武区の街の特徴の比較が面白かったのと、前門にある都市計画館に次回は是非立ち寄ってみようと思いました。