罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

漢文力


中公文庫に改めて収められた『漢文力』読了。親本が出た当時、「○○力」といったタイトルがブームだったので、それにうまく乗って売れたみたいですが、言うなれば<現代に活かす古典の智慧>っていう本です。ですから、捉えようによっては、類書は掃いて捨てるほどあります。その中で、本書がそれなりに売れたというのは、やはり著者の中国古典の裁き方が類書よりも格段に優れていたからでしょう。原文と訓読をきちんと載せ、訓読で漢字には、すべて仮名ルビ付! これでずいぶんと門外漢にも入りやすくなっているのではないでしょうか? テーマ設定には、どうしても<現代に活かす>的な類書と同じ傾向が感じられ、もう一工夫欲しいなという気がしないでもないですか、そもそも古典をなぜ学ぶかと言えば、理由はさまざまあるでしょうけど、突き詰めれば「現代に活かす」ためなのですから、これこそ学問の本道なのかな、とも思います。