罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

上海ジャパニーズ


『上海ジャパニーズ』読了。

上海で活躍する(した)日本人24人へのインタビュー集で、文庫化に当たりその後の24人の現況をも収録。

この手の本はいくつかありますが、どうも「自分は特別」「夢を追って生きてるんだぜ」的な物言いが鼻につくことがあって好きになれないことが多かったのですが……。

本書の中で複数の人が指摘しているのですが、日本から逃げてきた、という意識が非常に新鮮でした。一見すると日本から海外に飛躍して活躍している、夢を実現しているという印象ですが、意外と日本で夢破れ、逆に日本にいる同期の友人にかえって差を付けられているのではないかという不安を持っている人が多いのに驚きました。

本書の好いところは、たとえば、中国語なんて出来なくても大丈夫、という人もいれば、中国語が出来なくて非常に苦労したという人、中国に来ているのではなく日本人社会の中だけでやっているにすぎないと冷めた目で見ている人、そういうバラエティに富んだ人たちを集めているところではないでしょうか? 年齢も職業もばらばらなのもいいです。

それにしても、成功している人ほど、中国での成功に冷めた視線を送っている、人によっては否定的に見ているのが印象的です。