『老いはじめた中国』読了。
少し前に読んだ『老いてゆくアジア』はアジア各国の少子化問題を取り上げていて、人口学、社会学といった視点からの本でしたが、本書は中国に絞って、その高齢化社会が今後の中国の情勢、そして日中関係にどのような影響を与えるのかを考察した一書です。
改革開放からくるすさまじい経済成長、そして伸び盛りの国力、そんな中国の現実を見ると中国はまだまだ国としては若々しいという感じです。
ただ一党独裁からくる非民主的政治、人権や報道の自由が認められない強権政治といった側面から中国崩壊論も一方で声高に語られています。
個人的に、巷を賑わしている中国崩壊論というのには、どうも賛成できないのですが、こういう人口構成から来る中国の国家としての成熟を通り越した高齢化について語られると説得力を感じます。
環境悪化や社会保障など、日本が数十年かけて取り組んできたこと(いまだに不十分なところもありますが)を、中国はおそらく数年でこなさなければならなくなるでしょう。
こちらの方が、中国崩壊論としては遙かにリアリティがあるのではないでしょうか?