罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

「中国問題」の内幕


『「中国問題」の内幕』読了。


中国政治のこの数年、ほんの一、二年の動きをわかりやすく丁寧に解説してくれています。さすが長年の中国特派員として現場で取材を続けてきた著者ならではです。

中国の動き、それが民衆のものであれ、政治世界のものであれ、経済化のことであれ、どうしてもトップの権力闘争の影響を免れないものであるのは承知していますが、では具体的にどんな動きが裏で起こっていたのかとなると、暗中模索どころか、五里霧中、あたしなどには全くわかりません。

本書では、あくまで著者の推論と断わりながらも、胡錦涛を代表とする共青団江沢民らの上海派、そして太子党という三派の動きを基本軸に流れをとらえています。

全体的に共青団が中国古代史に登場した「清流」のような好印象をもって描かれている感もありますが、そんなきれいなものではないことは歴史上の「清流」も同じこと。やはり官場は清濁併せ呑むようでないと渡っていけないのでしょう。

日本から見ると、歴史問題を主張し愛国教育を奨励した江沢民が悪玉で、胡錦涛は善玉的なイメージもありますが、胡錦涛の時代になってむしろメディア規制は強まっていたり、胡錦涛もかつてはチベット問題を鎮圧したりという面があるわけですから、あの国の指導者はやはり皆一筋縄ではいきませんね。