罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

不平等国家中国

『不平等国家中国』読了。

著者は数年来、中国の学者と共同で何回もアンケート調査を実施しており、その結果を踏まえた中国社会の考察です。大学教授や古典学者、あるいは特派員などの生活経験に根ざした中国モノにもそれなりの大白さはありますが、こういったアンケートという手法をベースにした中国モノは、新書ではあまりないので新鮮です。

アンケートや社会学的調査を専門にしているからなのか、著者は結論を語るのにかなり慎重で、そういう意味ではもどかしくもあり、歯がゆくもあります。中国でこの手のアンケートを実施する難しさがあるので仕方のない面はありますが、上述の体験記とはかなり異なるアンケートの分析結果には思わず目からウロコです。

著者が最後に語る「過去に進化する社会主義」という定義は、なかなか言い得て妙です。