罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

紫禁城―清朝の歴史を歩く


紫禁城清朝の歴史を歩く』読了。

紫禁城の案内と、各宮殿・建物にまつわる清朝の歴史を紹介している本です。現存する紫禁城にスポットを当てているため、元明の頃の紫禁城については触れられていませんが、それはサブタイトルでも明らか。

また、資料が多く残っているためか、どうしても西太后時代とそれ以降の比率が高くなっている感がありますね。

紫禁城(現故宮博物院)を歩くとき、この本を読んだ後では印象が変わるかと言えば、あたしのように中国史を専門にやってきた人間には疑問符ですが、そうでない方にはどうでしょう? そこで営まれたドロドロとした、生の生活が垣間見られて面白いと思える方もいるのではないでしょうか? この手の清朝秘史的な本は他にもありますが、手頃さでは一番だと思います。

各章の初めに、その章の舞台となる紫禁城の詳細図が載っているのは便利ですが、全体図で指名している区域と拡大図の区域が微妙に合っていないのは如何でしょうか? それに、拡大図を載せるのであれば、本文中で触れた建物はすべてその図に入れてもらいたいところですが、それも中途半端に終わっています。