罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

より身近に感じられましたが……

ヒョンナムオッパへ 韓国フェミニズム小説集』、いよいよ本日、見本出しです。配本は20日ですので、来週後半には店頭に並び始めるのではないかと思います。筑摩書房の『82年生まれ、キム・ジヨン』を買われた、読まれた方には是非お薦めです!

『82年生まれ』の著者チョ・ナムジュさんの作品が「ヒョンナムオッパへ」で、本作の巻頭を飾る作品です。こちらは短篇なので取っ付きやすいのではないかと思います。そして、それ以外にもさまざまな作家の作品が全部で7作品収録されています。タイトルを眺めながらどれから読もうか考えるひとときも、読書(特に短篇集)の醍醐味だと思います。

さて、ここで先入観を与えてはいけないと思いつつも、『82年生まれ』と『ヒョンナムオッパへ』だとどっちが面白い、という営業回りで聞かれそうな問いにあたしなりにお答えしたいと思います。

でも、『ヒョンナムオッパへ』は未刊ですからお読みになっていない方ばかりでしょう(原書で読んでしまった方もいるのでは?)から、裏表紙の帯をご覧いただきましょう。どんな内容の作品なのか、少しはご理解いただけるでしょうか?

という前置きはこのくらいにして、問いに対する答えですが、『82年生まれ』と『ヒョンナムオッパへ』とでは身近さに距離があると感じました、あくまであたし個人の感想です。『82年生まれ』はちょっと遠いです、こういう喩えがわかりやすいかどうかなんとも言えませんが、隣のクラスメートという感じです。顔は知っているし、一回くらいは話したことがあるかもしれないけどよくは知らない人、という感じです。

それに対して『ヒョンナムオッパへ』はよく話をする同じクラスの人です。日常的な会話もあるし、ある程度はどんな人なのかも理解しているつもりという感じです。

なので、だからこそ、『ヒョンナムオッパへ』の方が切実であり、よりリアルに感じられ、読んでいて辛い部分がありました。この気持ち、わかっていただけますでしょうか。いや、わかってもらえなくてもよいです。とにかく読んで何かを感じていただければ、それで十分です。