罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

広島で牡蠣と言えば……

昨日のダイアリーで、広島で食べた穴子と牡蠣について書きましたが、広島で牡蠣と言えば、あたしには苦い思い出があります。

あたしが小学6年生の時だったと思います。当時、父方の親戚が松山に住んでいたので、両親と妹の四人で、そこへ遊びに行ったことがありました。数日の松山滞在後、広島へ戻ってきて新幹線で帰京する前に、広島で少しの時間を過ごしました。原爆ドーム平和公園へいった記憶はないのですが、広島城へは行きました。

そして、もう一つ覚えているのが家族で牡蠣のお店に食事に入ったことです。

有名店だったのか、ふと目に留まった一般的なお店だったのか、その記憶はありませんが、家族で牡蠣フライ定食を注文したのを覚えています。そこで事件は起きました。

当時のあたしは、まだ高学年とはいえ小学生の子供です。普段から食べているわけでもない牡蠣がどうも好きになれませんでした。食わず嫌いだったのか、食べてみてダメだったのか、その記憶すらありませんが、とにかく、その当時のあたしは牡蠣が食べられませんでした。

食べられないと言うよりは食べたくなかったと言った方が正確だったような気がします。そんなあたしだったので、たぶんその時も「牡蠣は嫌だ、他のものが食べたい」とわがままを言ったのだと思います。牡蠣フライのお店ならロースカツとかもあっただろうと思い、それが食べたいと主張したのだと思います。

ところが、うちの父親は変なところが非常に厳しい人で、広島に来て牡蠣のお店に入ったのだから牡蠣を食べろと怒り、それなら何も食べるなと言って、あたしは何も食べさせてもらえなかったのです。家族四人で卓を囲み、両親と妹が牡蠣フライ定食を食べている横で、あたしだけ何も置かれていないテーブルを眺め座っているだけでした。

いまでは笑い話ですし、牡蠣だってふつうに食べることができますが、当時のあたしはそんなだったという苦い思い出です。広島へ行ったので思い出しました。