日中関係の選著と思いきや、確かに大きく捉えればそうなのですが、もっと抽象的な論議が主となっているので、世間によくある中国モノの新書、文庫に比べると読みにくい、と言いますか、歯ごたえがあります。
地域研究というのか、社会学とでも言うのか、そういったジャンルの用語や議論の仕方を多少心得ていないと、一回読んだだけでは理解できないところが多々ありました。
なので、今一つ訴求力に欠けてしまうようなきらいも否めません。世にあまたある<嫌中>本の舌鋒に太刀打ちできるのか、そんな気がします。もう少し具体性に富んでいて、わかりやすい言葉で書いてもらえると、<嫌中>論者の誤謬を正すのに非常に有益な本になったと思うのですが。