罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

自分再発見?

《エクス・リブリス》の最新刊『人類対自然』読了。

なんとも言えない読後感です。

すっきりするとか、明るい気持ちになるとか、そんなありきたりな読書感想を求めたら思いっきり裏切られます。

ただ、あたし的にはとても面白かったですし、非常に親近感を覚えました。

この短篇集、どの作品も、イヤな感じの人ばかりが登場します。よく「登場人物全員よい人」的な小説もありますが、むしろその逆です。ただ、そのイヤさ加減が絶妙で、「どこにでもいるよね、こういう人!」という感じなのです。

だから、どの作品の主人公や登場人物も、決して友達にはなりたくないし、身近にいたら警戒してしまいそうです。そして、そんなところに親近感を覚えます。たぶん、自分に通じるものを感じてしまうからでしょう。

自分のことが大嫌い、という人は、読んだらきっと短篇のどれかで自分を発見するのではないでしょうか、そんな作品です。