罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

阿片中毒になるには、阿片を買えるだけのお金を持っていないとならないそうです

どういう経緯があったのか、あたしなどにはわかりませんが、今日の朝日新聞朝刊の一面に満洲帝国のアヘンに関する記事が大きく紙面を割いて掲載されていました。

その記事のベースになっていると言ったら大袈裟でしょうし正確ではないと思いますが、いま満洲のアヘンに注目が集まっていることの一因に、記事の中にも取り上げられていたコミック『満洲アヘンスクワッド』があるのでしょう。「満洲」「アヘン」と聞いたら反応せずにはいられません。あたしもコミックの連載当初から気になっていて、単行本が出るたびに購入し愛読しておりました。

コミック単行本も既に10巻以上を数え、来月には14巻が刊行される予定です。もちろん購入します。そして、満洲のアヘン関連の本、それほど多くはないですが、何冊か架蔵しておりまして、その一冊が『大観園の解剖』です。

最初にタイトルだけを見たときは、「大観園だから『紅楼夢』に関係する本かな?」と思っていました。『紅楼夢』も興味があるので、いずれにせよ購入必至の本ではありましたが、よくよく見てみると満洲のアヘンに関する書籍でした。

そして満洲の阿片と言えば里見甫です。たぶん、里見甫の名前を知っている人は、現在の日本ではそれほど多くはないでしょうが、評伝がかつて刊行されていました。それが『其の逝く処を知らず』です。集英社から刊行され、その後集英社文庫でも刊行されました。右の写真は単行本ですが、集英社文庫版ももちろん架蔵しております。

この里見甫ですが、晩年にあたしの恩師がいろいろ話を聞いていたそうです。酒の席で、そんな思い出話をしてくれましたが、数回話を聞いたところで、里見甫が亡くなってしまい、最後まで話を聞けなかったそうです。

そんな恩師の著作が左の写真なのですが、表紙のカバー写真、左から二人目と数えてよいのでしょうか、白い中国服姿の男性が里見甫だそうです。写真を見る限り、とても満洲の阿片売買を牛耳っていた男とは思えないです。人は見かけによりませんね。

そう言えば、満洲ではないのですが、やはり阿片王と呼ばれた人に二反長音蔵がいますね。息子の二反長半が著した『戦争と日本阿片史 阿片王二反長音蔵の生涯』という本を古本屋で見つけて購入したのですが、これは学生時代の友人が中国近代史を専門としていたのであげてしまいました。