罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

断末魔の中国

『断末魔の中国』読了。

確かに著者の言うとおり、最悪のシナリオを突き進めば、本書に書いてあるようなことも起こりうるでしょうけど、一方で著者が言うような懸念、危惧を真っ向から否定する書物も多く、それもそれで説得力に富んでいます。どちらも極端だなあと思います。

むしろ問題なのは、本書の場合、結局著者は何が言いたいの、ってところです。著者としては本気であり、かなり精度の高い未来予測のつもりなんでしょうけど、いたずらに隣国の危機、崩壊を日本人に対して煽っているだけのような気もします。

そして、そういう風に煽っておいて、結局どうしろと言うのでしょう? 確かに腐敗にしろ環境問題にしろ、国際的な水準と比べた時のマナーにしろ、中国には問題が山積しています。

よく言われるように、中国と日本はどちらも決して居場所を変えられない(どこかへ引っ越していくことの出来ない)隣人なわけで、そうであるなら危機や崩壊を煽るのもいいですが、隣国として隣人としてどう対処するのか、それを示すべきだと思います。

対処と言っても日本一国で済む問題ばかりでもないでしょう。中国に対する働きかけも重要だと思います。中国論の場合、そこのところを示さないと、結局は一人で勝手に吠えているだけになってしまうと思います。

本書で著者が示した具体的な行動は、ウイグル人チベット陣だったらこういうテロを計画する、実行するという話だけですから……。