罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

世紀風雪(下)


『世紀風雪(下)』読了。

上巻を読んだ時点でほぼ予想はついていましたが、下巻はいよいよ著者の時代、新中国の時代です。

清朝皇帝一族なわけですから、文革の頃には相当な苦労があったものと思われますが、読んでいる限り、本当に底辺の生活をしたようには感じられません。もちろん、かなり苦しく悲惨な生活だったと思われますが、それでも、この時代のさまざまなドキュメントでしばしば語られているような悲惨な体験に比べると、著者の境遇はまだマシだったのかな、という思いに駆られます。

そう思ってしまうのには、著者の毅然としたぶれない態度、心持ちが大いにあずかっていたのでしょうけど、それも記述がやや鼻につきます。自分はきれい、あたまがいい、誰よりも優れている、決して負けない、といったものすごい自己顕示欲。このバイタリティがあればこそ、苦労大木時代を生き抜いてこれたのだとわかってはいても、やはり鼻白むものがあります。