罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

新書いろいろ

あらすじでわかる中国古典「超」入門

『あらすじでわかる中国古典「超」入門』読了。 本当に、大雑把に中国文学(古典)の世界を概観した本です。駆け足で、どころか猛ダッシュでと言った方がふさわしいくらいです。なので、かなり端折っている部分もあれば、取り上げているものに偏りがあるかも…

台湾 したたかな隣人

『台湾 したたかな隣人』読了。 台湾在住の著者による、台湾を理解するための指南書。著者が本文中で何度も指摘するように、日本では蒋経国・李登輝の治世をかなり高く評価していますが、実は市民運動など下からの動きが台湾の民主化を導いたという点が見落…

世界史のなかの満洲帝国

『世界史のなかの満洲帝国』読了。 ふつうの日本人が気軽に読める満洲国、満洲帝国史の本を書きたいという著者の目的はある程度は果たされたと思いますが、やはり東洋史、中国史、アジア史や日本史、それも近代史を学んだことのない人には歯ごたえのある本だ…

漢文の素養

『漢文の素養 誰が日本文化をつくったのか?』読了。 漢文は漢字によって表現されるわけですので、少し前に読んだ『日本の漢字』と通じるところもあり、なかなか面白く読めました。記述の多くは、漢文読解力の歴史と括ってしまうと間違っているかもしれません…

日本の漢字

『日本の漢字』読了。 タイトルこそ<日本の…>ですが、漢字全般について書かれていますので、漢字マニアには興味深く読めるでしょう。 漢字の日本独自の発達・諸相といったものを幅広く紹介していますが、焦点が何なのか、ちょっとぼやけ気味という漢字もし…

チンギス・カン

『チンギス・カン―“蒼き狼”の実像』読了。 ユーラシア大陸全域にまたがる巨大帝国を築いたジンギス・カンとなると、一般の中国史からはちょっと外れるような気もしますが、元王朝は中国の正当王朝の一つですし……。 考古学と文献斯学をミックスして、その成果…

中国が「反日」を捨てる日

中国が「反日」を捨てる日読了。 日中関係のこのところの軋轢を、主として中国共産党首脳部の権力闘争などとの関わりで述べた本です。いわゆる愛国教育のせいだ、小泉の靖国参拝がといった表面的な現象の裏にある、共産党幹部の政争や中国の社会事情にまで言…

日中一〇〇年史

日中一00年史 二つの近代を問い直す読了。 現在の日中関係に関して、楽観論から悲観論まで、それこそ数え上げたらきりがないほど出版されていますが、そういった書籍に対し本書は淡々とした語り口調で、日中近代史と知識人の群像を描いています。 <日中>と…

出身地でわかる中国人

『出身地でわかる中国人』読了。 この本、別に客観的なデータで各省ごとの特色・特質を述べた本ではありません。著者が何度も訪中した経験のみを頼りに中国各地のことを書いたもので、言葉を悪く言ってしまえば「単なる旅行の感想」です。 なので、タイトル…

「小皇帝」世代の中国

『「小皇帝」世代の中国』読了。 既に一人っ子政策の第一世代は社会人となり、購買力や学歴など様々な面で、社会への影響力を増しつつあります。そんな一人っ子世代の有り様を描き出した一冊です。 中国の場合、日本や西欧諸国がそれなりの年月をかけて歩ん…

人民元は世界を変える

『人民元は世界を変える』読了。 中国モノと言うよりは、経済モノと言った方がいいような本でした。経済・金融などに疎いあたしには少々骨が折れました。 ただ、中国モノというと「とんでも本」が多い中、むしろ本書のように必ずしも中国問題専門家でない人…

東アジア「反日」トライアングル

東アジア「反日」トライアングル読了。 この前に読んだ「俺様国家…」に比べると、著者が大学の教員だけに、話の進め方に乱暴さは少ないです。著者の専門は北朝鮮や韓国と言うことで、中国に関しては著者独自の論と言うよりも、他人の著作やマスコミ報道など…

”俺様国家”中国の大経済

”俺様国家”中国の大経済読了。 あまり後味のよい本ではありませんでした。いわゆる中国脅威論の一角を占める書籍なのでしょうが、どうしてこうも中国を敵視するのだろうかと思います。 確かに書かれている内容でうなずける部分も多々あります。ただ、そこか…

中国経済のジレンマ

『中国経済のジレンマ』読了。 この手の本は、もう何冊も読んでますが、この本は経済学や実際の貿易・経済の現場を心得ていないと、ちょっと難しいかなと感じます。あたしのように、経済学の数字がからきしな人間には、読み進めるのがかなり大変でした。 た…

中国人の愛国心

中国人の愛国心−日本人とは違う5つの思考回路読了。 中国人が日本文化に憧れ親近感を持ちつつも、親しくなったが故に、自分たちの生活にかなり浸透してきたが故に、逆に反発心を持ってしまうということはよく理解できました。 また、例えば反日デモにおいて…

ほんとうは日本に憧れる中国人

『ほんとうは日本に憧れる中国人− 「反日感情」の深層分析』読了。 中国の若者は意外と日本に憧れている、という内容。中国国内の反日・嫌日の人が読んだら怒るかもしれませんが、確実にこういう若者は増えているのだと思います。ただ、中国の若者がみんなそ…

満鉄調査部

『満鉄調査部―「元祖シンクタンク」の誕生と崩壊』読了。 満鉄調査部の歴史というよりは、必然的に満洲国史、日本近現代史といった内容になってしまいます。「あとがき」で「人物を中心に論を進めたために、日本の国内政治や満鉄と調査部の関係が後景に退い…

反日と反中

『反日と反中』読了。 直前に読んだ『…永遠のミゾ』に比べると、資料も豊富で、研究者の説を多く紹介してあり、かなり濃い本です。極めて対照的と言えます。 著者の立場は私から見ると非常に公平だと思いますが、やはりいろいろなところからクレームが来るの…

日本人と中国人永遠のミゾ

『日本人と中国人永遠のミゾ―ケンカしないですむ方法』読了。 サブタイトルに「ケンカしないですむ方法」とありますが、決して解決方法を具体的に提示しているような本ではありません。日本語・日本文化を専攻し、日本にも長く生活している著者が、身近に感…

鬼子たちの肖像

『〈鬼子〉たちの肖像―中国人が描いた日本人』読了。 中国の画報に描かれた日本人像をたどった一冊。中国人は中華文明に含まれない生き物をすべて「鬼」と見なしていたので、怪物も幽霊も妖怪も、異形の動物も、挙げ句の果てには外国人(西洋人)までもすべ…

阿片の中国史

『阿片の中国史』読了。 手軽な、近代中国の阿片問題簡史としては読みやすい本です。新書なので掘り下げた分析とか資料の提示はあまりないので、そこがやや物足りないですが、概略(大きな流れ)を知るにはこの程度がちょうどよいと思います。 ただ、日本の…

だれが中国をつくったか

『だれが中国をつくったか−負け惜しみの歴史観』読了。 著者は中国人の歴史を観る眼が数千年来変わっていないということを『史記』以来の正史を例にとって述べているのですが、どちらかというと本書は代表的な正史とその編纂に関わった人の紹介という読後感…

西太后

『西太后―大清帝国最後の光芒』読了。 清末の女傑・西太后の評伝でありながら、その時代が現在の中国の出発点になっているという視点で書かれた「清末史概説」でもある書です。新書という形態から、なぜ現在の中国の元になっているのかという点では、証明が…

「日中友好」は日本を滅ぼす!

『「日中友好」は日本を滅ぼす!―歴史が教える「脱・中国」の法則』読了。 日本史において中国と距離を置いた平安時代や江戸時代は日本が発展し、中国にかかわった時期は日本は混乱に陥ると述べる導入部。そういう見方もあるのかなという気持ちで読みました…

中国は社会主義で幸せになったのか

『中国は社会主義で幸せになったのか』読了。 中国の近代以来の歴史を、共産党を中心に俯瞰したもの。中国の革命の歴史、特に共産党の革命が、社会の土台を変革することなく、マルクス主義の教条に引きずられて進んでしまったため、中華人民共和国も、その内…

人名用漢字の戦後史

『人名用漢字の戦後史』読了。 著者は大修館書店で長年にわたって漢和辞典の編集を担当された方で、人名用漢字や当用漢字、常用漢字の変遷が、戦後政治の軌跡と重なるということを中心にまとめたもので、そういう視点からの「漢字モノ」はあまりないので面白…

中国激流

『中国激流―13億のゆくえ』読了。 先日読んだ莫邦富氏の著作に比べると、中国に対する見方は厳しいものがありますが、決して嫌中・反中的な立場ではなく、きわめて中立的な立場で書かれていると思います。中国人からすれば、偏狭な見解と言われるかもしれま…

日中はなぜわかり合えないのか

『日中はなぜわかり合えないのか』読了。 莫氏の著作はそれほど読んでいるわけではないんですが、これは新書で電車の中で読むにはちょうどいいし、なにしろこんな日中関係の時期だからこそ知日派中国人の意見を知っておこうと思って…。 論調はいたって中立な…

中国艶本大全

『中国艶本大全』(土屋英明、文春新書)読了。 前半、といっても半分より少なく、三分の一くらいは、中国の淫書の簡単な歴史概説で、後半が主な淫書・艶本の抄訳になっています。 この抄訳部分、同著者による徳間文庫『房中秘記―中国古典性奇談』とほとんど…

現代中国の禁書

『現代中国の禁書 民主、性、反日『(鈴木孝昌、講談社+α新書)読了。 中国のメディアに自分の信念を一度は発表できたものの、その後当局により発禁とされた人々へのインタビューを中心としたノンフィクション。著者は長らく香港、北京で新聞社の局長として…