罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

新書いろいろ

中国は敵か、味方か

『中国は敵か、味方か』を出張の合間に読んでいました。莫さんの本は過去にも何冊か読んでいますが、日本のこと中国のこと両方を理解されているので、いろいろ目から鱗でいつも読んでいます。日本で出している本なので、莫さんが「日本人は中国人のこういう…

百人斬り裁判から南京へ

『百人斬り裁判から南京へ』読了。あまり読後感のよいものではありませんでした。本多氏の「中国の旅」が嘘八百を並べているというのは以前から耳にしていましたから。それに朝日新聞などの会社としての態度も今さら言うまでもないことです。それはさておき…

乾隆帝―その政治の図像学

『乾隆帝―その政治の図像学』読了。清朝の最盛期を作った皇帝として有名ですし、やはり『四庫全書』などの文化事業(それが知識人対策であったとしても)でも知られてる皇帝です。ただ、そういった政治的、文化的な業績が有名であるからこそ、本書のような空…

新しい中国古い大国

『新しい中国古い大国』読了。正直、何を主眼とした本なのか、今ひとつ理解できませんでした。目次を見る限り、簡単な概説書のように思われたのですが、内容は著者の中国見聞記のところもあれば、自身の自伝(想い出?)的な部分もありで、なんともまとまり…

鷲の人、龍の人、桜の人

『鷲の人、龍の人、桜の人』読了。副題に「米中日のビジネス行動原理」とあるように、日中米の比較文化論ではなく、あくまでビジネス分野での三国の気質の違いを実例を交えて紹介するといった本です。アメリカ人の部分はいざ知らず、中国人の部分では、確か…

北朝鮮・中国はどれだけ恐いか

『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』読了。北朝鮮、中国の軍事力に関する専門家の客観的な分析。ちょっと軍事や戦艦、戦闘機に知識があれば、すぐにわかるようなマスコミ、識者の誤りを具体的な資料の裏付けで修正してくれます。論はかなり説得力を持っていま…

とらえどころのない中国人のとらえかた

『とらえどころのない中国人のとらえかた――現代北京生活事情』読了。著者は家族連れで北京に数年間滞在していた方です。ですので、ほんの短い間滞在するだけの旅行者や、政治に振り回されがちな新聞記者、熾烈なビジネス競争に巻き込まれている企業人とは異…

もし、日本が中国に勝っていたら

『もし、日本が中国に勝っていたら』読了。中国のネットに発表されて話題となった文章の日本語訳。訳者も言うように、細部はまだまだ甘い部分がありますが、中国人には受け入れがたい部分が多いのではないでしょうか?ただ、この本、タイトルと内容は少しず…

東アジア共同体をどうつくるか

『東アジア共同体をどうつくるか』読了。国際問題とか経済的な用語に強くないと読みにくいです。基本的に著者はASEANを中心として東アジア共同体の構築というものを、最も自然で現実性のある方向と考えているようです。ただ、私の知識不足からか、小難…

近くて遠い中国語

『近くて遠い中国語―日本人のカンちがい』読了。ご自身も本の中で書いていますが、阿辻さんって中国語の先生なんですね。もっと中国文学とかを教えているのかと思っていましたので意外でした。さて、この手の新書で中国語のアウトラインを述べるのは難しいで…

弄ばれるナショナリズム

『弄ばれるナショナリズム―日中が見ている幻影』読了。日中関係の選著と思いきや、確かに大きく捉えればそうなのですが、もっと抽象的な論議が主となっているので、世間によくある中国モノの新書、文庫に比べると読みにくい、と言いますか、歯ごたえがありま…

知られざる素顔の中国皇帝

『知られざる素顔の中国皇帝』読了。肩の凝らない、中国皇帝の伝記集。新書という性格上、数百人にものぼる中国歴代皇帝の中から、ほんの一握りしか取り上げられていませんが、有名どころも押さえられていて、世界史で名前くらいは聞き覚えのある人が何人か…

中国人の宗教・道教とは何か

『中国人の宗教・道教とは何か』読了。 中国というと儒教の国という印象がありますが、民間レベルでは実は道教がかなり根を張っている国です。もちろん知識人もかなり入れ込んでいます。そんな中国の隠れた宗教・道教の手軽な入門書です。 隠れた宗教などと…

巷談 中国近代英傑列伝

『巷談 中国近代英傑列伝』読了。 中国近代史の主人公たちを十数人取り上げた評伝集。各人物の評伝は数ページのコンパクトにまとめられているので、簡単に読み進めることができます。 ただ、あたしのような中国史の専門家や中国史好きにはよく知った人たちば…

中国・アジア・日本

『中国・アジア・日本―大国化する「巨龍」は脅威か』読了。 印象としては、嫌中でも媚中でもなく、極めて中立的に日中関係を眺めている論調です。 最後にまとめて、これからの日中関係をどうするか、日本はどう振る舞うべきかを述べているので、その途中では…

日中2000年の不理解

『日中2000年の不理解―異なる文化「基層」を探る』読了。 日本人は感性の国民であり、信念を持っていて何事にもその信念を基準として行動する中国人や欧米人(キリスト教徒)、イスラム教徒とは根本的に異なる、という指摘はこれまで専門家なども指摘してい…

中国 大国の虚実

『中国 大国の虚実』読了。 先に読んだ『「反日」とは何か―中国人活動家は語る』が、いわゆる「反日」活動家へのインタビューを中心にまとめているの対し、本書は日本経済新聞の紙上連載特集記事ということもあり、中国全般にわたる内容でした。そのため、一…

「反日」とは何か

『「反日」とは何か―中国人活動家は語る』読了。 本書の特徴は、著者自身の言葉で語るよりも、その副題にもあるように、日本のマスコミではしばしば「反日活動家」などと紹介される中国人活動家へのインタビューを中心に構成されています。著者の意見や言葉…

漢字伝来

『漢字伝来』読了。 漢字に関する本はたくさんありますが、本書は日本語として、日本語を書き表わす道具として漢字が定着していく過程を丹念に解説したもので、専門的な書籍を除けば、他に類を見ないものではないでしょうか? ただ、最初にも書きましたよう…

歴史の嘘を見破る

『歴史の嘘を見破る―日中近現代史の争点35』読了。 いわゆる対中強硬論者のテーマ別論説集です。どちらかといえば親中派のあたしには、うなずけない論もあれば、それなりに首肯できる論もありました。それほど感情に流れず、引用なども比較的出典を明示して…

中国10億人の日本映画熱愛史

『中国10億人の日本映画熱愛史—高倉健、山口百恵からキムタク、アニメまで』読了。 中国映画の本ってのは、決してないわけではなかったですが、この本は中国に於ける日本映画の受容史とでも言うべき内容であるところに特色があります。中国で高倉健や中野…

上海狂想曲

上海狂想曲読了。 戦前の日本人作家や新聞記者の上海体験を通して、当時の日本人にとっての上海を描いた作品。 本文中で「最も近い外国の都市」というフレーズで上海が紹介されているのですが、戦時中ということもあるのでしょうが、ほとんど外国としての一…

起業するなら中国へ行こう!

『起業するなら中国へ行こう!−北京発・最新ビジネス事情』読了。 著者は大手商社の北京駐在員から、そこを辞めて北京で起業した人です。経歴から見たところ、いわゆる中国思想とか中国文学や中国語ってのを専門に学んで、中国が好きで好きで、中国絡みの仕…

溥儀

『溥儀―清朝最後の皇帝』読了。 数奇な一生を送った、中国二千年の皇帝制度の最後を飾った宣統帝・溥儀の評伝。数奇な一生、激動の生涯など溥儀の一生を形容する言葉には困りませんが、比較的淡々と描かれている、むしろ大きな出来事、劇的な場面もないかの…

貝と羊の中国人

『貝と羊の中国人』読了。 中国人の特性を貝と羊で表わした日中比較文化論。と言っても小難しい話は出てきません。また、取り立てて、数多い中国論を批判している本でもありません。 確かに著者は多くの中国脅威論などを暗に批判していることは読み取れます…

「権力社会」中国と「文化社会」日本

『「権力社会」中国と「文化社会」日本』読了。 著者は「社会特質」という言葉を使って日本社会と中国社会の違いを比較しています。日本と中国で同じような事柄に対して反応が異なるのもこの社会特質のせいだというのですが、それぞれの社会特質がどうして形…

君子の交わり、小人の交わり

『君子の交わり、小人の交わり―日中関係を90度ずらす』読了。 売れに売れている養老孟司さんと王敏さんの対談集。サブタイトルにある「90度ずらす」という言葉、本文中に一、二か所ほど言及がありましたけど、これといってメインテーマになっていない憾みが…

三国志人物外伝

『三国志人物外伝−亡国は男の意地の見せ所』読了。 この手の本はいろいろあります。いろいろな人がさまざまな角度から書いています。そんな中、この本の新味といえば、正史『三国志』や小説『三国志演義』にも記載されていないエピソードを極力拾っていると…

中国人、会って話せばただの人

『中国人、会って話せばただの人―近くて遠い隣人との対話』読了。 著者の田島氏が本文中でも述べているように、中国の「いま」を伝えるレポートとも言えるし、肩の凝らない旅行エッセイとも言えます。 中国について学者らしく分析的に欠いている部分と、田島…

中国、核ミサイルの標的

『中国、核ミサイルの標的』読了。 中国軍(人民解放軍?)の不透明さというのは、例えば何がどこに配備されているのか、予算は実際にはどのくらいなのかなど、いろいろ言われています。実際問題としてそれはその通りなんでしょうけど、本書のように中国の怖…